ネアンデルタール人
[2022.10.12]
今年のノーベル賞には残念ながら日本人の受賞者はいませんでした。今回の医学生理学賞では「絶滅した古代人のゲノムと人類の進化に関する発見」に対して受賞が決まりました。人類はどの様な進化を辿り今日の繁栄に至ったのかという疑問に対してゲノム(全遺伝情報)を解読した結果、約3万年前に絶滅したネアンデルタールの遺伝子が1~4%受け継がれていることが分かりました。現生人類はネアンデルタール人と共通の人類であるハイデルベルク人から40万年前に分岐しますが、アフリカを出た現生人類とアフリカに残った現生人類に分かれアフリカを出た現生人類がヨーロッパや西アジアに住んでいたネアンデルタール人と交雑したというものです。ネアンデルタール人は身体的に強靭で高い持久力から草食動物を狩猟した食生活を送りますが、野蛮人ではなく仲間を埋葬した際には花を手向け、住んでいた洞窟には壁画が描かれたり、貝殻などでアクセサリーや動物の骨に穴を開け楽器を作っていたとされています。彼らは1つの家族で暮らしていましたが、やがて天変地異(巨大火山の噴火や氷河期)によって食糧難に陥り絶滅したようです。現生人類の方は植物や野菜を食べ、部族で生活していたため今日まで生き残ったとされています。ところで、ネアンデルタール人のOSAという遺伝子を引き継いだ人は新型コロナウイルス感染をしても重症化しにくいようで興味は尽きませんね。